導入前の課題

―システム導入前は、どのような課題を感じていましたか？

紙の生産計画表と現物確認での進捗管理
生産活動における最大の課題は、各作業工程の進捗状況をタイムリーに把握できないことでした。従来は紙の生産計画表を使用し、手作業で計画の「消し込み」を行いながら進捗を管理していたため、「どの工程で、どの製品が、どこまで進んでいるのか」を確認するのに多くの時間と労力を要していました。特に多品種少量生産の現場では、個々の進捗確認に時間がかかり、夜遅くまで状況把握に追われる日も少なくありませんでした。

紙のチェックシートによる検査・記録負荷
品質管理表や圧着工程でのクリンプハイト検査は、手書きのチェックシートで運用していました。1回あたりの記録作業はわずかでも、1日に100回以上行うことで作業負荷が積み重なり、現場にとって大きな負担となっていました。

新規取引先への対応と管理の複雑化
新規案件の開始にあたって、従来の紙中心の運用では、品種数の増加や管理の複雑化に対応しきれない兆しが見られました。その結果、進捗管理・検査・記録のすべての面で課題が顕在化していました。

―選定の決め手は何だったのでしょうか。

新しい案件のスタートと同じタイミングで、Roland DG Assembleの提案を受けたことが導入検討のきっかけでした。「まさに今抱えている課題を解決できる」と感じたことが最大の決め手でした。
紙と手作業に依存した進捗管理・検査のデジタル化にフィットしていたこと
多品種少量の製品を前提とした仕組みであったこと
“伴走支援”で、導入後も改善を一緒に進めてくれること
特に、「システムを入れて終わり」ではなく、ダッシュボードの作成や運用面の相談まで現場に寄り添って対応してくれる点に強い安心感がありました。

―導入するにあたり不安はありましたか。

新規案件の立上げのタイミングに合わせて、対象工程から段階的にシステムを導入しました。ITに関する知識がほとんどなかったため、導入準備段階では、うまく運用していけるのかという不安もありました。作業者もこれまで手作業で行っていたため、『システムに馴染めるのだろうか』という心配もありました。“使いにくい”“面倒だ”という意見が出るのではと思っていましたね。

―なるほど。実際に導入してみて、その不安はどうでしたか？

思っていたよりもシステムの操作が分かりやすく、使いやすかったです。内容を覚えるのも難しくなく、スムーズに進められました。今では河合さんが担当していますが、習得が早くて助かっています。
河合様コメント：
最初は“難しいのでは”という先入観がありましたが、実際に触れてみるとすぐに操作に慣れました。シンプルで操作しやすく、マニュアルを見なくても問題なく作業できました。現場への定着もスムーズに進みました。作業者からは「難しいのではないか」「使いづらいのでは」という不安の声が出るのではないかと心配していましたが、実際には一度触れば直感的に覚えることができ、外国人実習生を含めて短期間で使いこなせるようになりました。

導入後の効果

―Roland DG Assembleを導入してみてどのような効果がありましたか。

進捗管理工数：月当たり約50時間　→　3時間へ
導入前は、進捗状況の確認と紙リストの消し込みに、1日あたり2〜3時間を要していました。導入後は、パソコンでダッシュボードを開くだけで状況を確認でき、1日わずか10分程度で把握が可能になりました。さらに、本社側でもリアルタイムで進捗状況を閲覧できるようになり、製品別の加工状況を遠隔で把握できるようになりました。

検査・記録作業工数の削減
従来、紙のチェックシートで行っていた検査・記録作業は、1回あたり約2分の作業時間削減につながりました。これを積み重ねることで、月あたり約10時間の削減効果を実現しています。品質管理の精度を維持したまま、効率的な業務運用を可能にしました。

今後の展望

―今後の展望について教えてください。

今後は、現在一部工程で導入しているシステムを全工程に広げたいと考えています。また、人の手で行っている寸法検査などの合否判定の自動化も取り入れていきたいです。更に、作業ごとの工数を正確に把握し、“適正工数”を明確にできるようにしていきたいと思っています。また、作業者ごとの得意工程・作業工数の見える化による、最適な人員配置と生産性向上にもチャレンジしていきたいと思っています。

―最後に、Roland DG Assembleを他社に勧めるとしたら。

紙やアナログ業務が中心の会社さんには特におすすめできます。DXに興味はあるけれど、まだ一歩を踏み出せていない企業などですね。このシステムは操作がとてもシンプルなので、デジタルツールに慣れていない現場でもすぐに使いこなせます。“試してもらえれば良さが分かる”そんなシステムだと思います。